蛮族700字文体シャッフル・アゲイン1
テーマ: 空
投稿期間: 3月27日 ~ 3月29日 23:59
予想期間: 3月30日 ~ 4月1日 23:59
解答発表: 4月2日
参加方法: 受付を終了しました。
文体シャッフルって?
みんなで匿名で文書いて、それを誰が書いたか当てる企画です!
参加資格
Discordサーバー「21, 22職員鯖」に参加している。
文がAI作ではない。
社会性がある作品である。
ルール
1人1作まで。
短歌1本はダメとは言わないけど晒しあげます。徹底的に晒しあげます。
著作があると当てやすいですが、無著作OK。ただ、いつか残しましょう。
画像を使用する場合は一律でEnho_Oshoがアップロードしますので、使用する画像をDiscordのDMにて送ってください。アップロードが完了次第URLを送り返します。締め切り直前に画像を送ってきた人は晒しあげます。(容量の関係で画像サイズは問答無用で小さくしますので悪しからず)
著者予想は鯖外からも広く受け付けています。
four Boretto
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著者ページ
Hoojiro_san
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著者ページ
makigeneko
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著者ページ
Matcha tiramisu
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著者ページ
MikuKaneko
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著者ページ
Pope3pape does not match any existing user name
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著者ページ
teruteru_5
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著者ページ
Touyou Funky
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著者ページ
投票締め切り: 4月1日 23:59まで
下記リンク先のGoogleフォームに必要事項を記入の上送信してください
- No.1
- No.2
- No.3
- No.4
- No.5
- No.6
- No.7
- No.8
- No.9
- No.10
- No.11
- No.12
- No.13
- No.14
- No.15
- No.16
- No.17
- No.18
- No.19
作者: Enho_Osho
票数: Enho_Osho ×3, sakapon, Yukko ×3, four Boretto, Childream, rokurouru, Hoojiro_san, kihaku
目が覚めると目の前に、大きな空蝉がありました。
私より一回り小さな空蝉が、私に背を向け横たわっていました。
触れると崩れてしまいそうなその殻の背には、縦に裂けた大きな孔が開いています。
首を伸ばし孔を覗いてみますが、中は暗くて何も見えません。
ふと、暗闇の落ちる孔に手を差し込みました。
朝の冷えた空気に反して、誰かが脱ぎ去ったすぐ後のような温かさを感じました。
寝巻を脱ぎ捨て、四肢から順に孔の中へと入り込みました。
不思議と全身がすっぽりと収まりました。
全身が温かさに包まれます。
やがて身体の中へと温かさが染み渡りますが、しかし私の身体の芯にある洞だけは冷え切ったままでした。
洞が、ゆっくりと広がっていきます。
洞は私を侵食し、私はからっぽになりました。
中身を失った私の殻は背中が裂け、そして空蝉の一部となりました。
空蝉は私で、私は空蝉です。
空蝉は明日もまた、目覚める私の元へと現れることでしょう。
作者: Fireflyer
票数: Fireflyer, ocami ×4, teruteru_5 ×2, sakapon, kihaku, makigeneko, rokurouru
「うっわ~!景色、綺麗だね~!」
聳え建つビルの屋上に人影は無く、私と彼女、そして溢れんばかりに灯る街明かりがあるのみで、先程までの喧騒とは打って変わっていた。
「でっしょ~!お金を払うのはちょっと癪だけど、それでも一級品だよねこれは」
うんうんと彼女は頷く。喜んでもらえて何よりだな、と思う。
「それにしても、この下に住んでいると思うとちょっと感動しちゃうね。なんか、普段は自分の窓明かりとか一切意識してないけどさ、こうやって上から見るとすっごい綺麗で……星空もこんな感じなのかな」
「星空?」
私はそう聞き返す。そして私たちは見た事も無い、この景色のように綺麗な星空を妄想する。
「そうそう。だって、昔は方角を定めるのにも星を使ったんでしょ?まあ、こんな場所じゃ1個も見えないけどね」
この灯りが星空か、と少し考える。そして、私は飲み干してしまった缶コーヒーを捨て、彼女の手を握る。
「いつか、見に行こうよ。この景色よりも素敵な、最高の星空を」
彼女は少し驚いたが、
「絶対、ね!」
と快諾した。
「司令。そろそろ出発のお時間ですが……珍しいですね。あなたのような人が写真を見て物思いに耽るとは」
回転椅子に腰掛け、豪勢な机に頬杖をつきながら昔の事を思い出していると、副司令は訝しむようにこちらを見ていた。
「私だって以前は乙女だったのだよ、副司令くん。こういう事があっても不思議じゃないのさ……さて、行こうか」
帽子を被り直し、身嗜みを整える。鏡を見ると、決意に溢れた目がこちらを見ている。時は満ちた。
「 地上奪還戦争に終止符を」
作者: Childream
票数: Childream×2, rokurouru, Fireflyer ×2, Yukko, ocami, Hoojiro_san, Pope3pape, Syutaro, leaflet
後悔しないように、力いっぱいに椅子を蹴り上げる。本来重力に従い降下するはずの身体は、一瞬の静止の後、遙か上空へと登り始めた。
浮遊感に身を任せる。痛いくらいに両腕を広げて、腹の底まで空気を吸い込む。
ふと頭上を見上げると、フィクションから持って来られたような輪っかが付いている。赤色に淡く光り輝くそれは、この身体を天国へと導いているように見えた。
足元を見下ろすと、雑多な光で照らされた街がある。等間隔の街路灯、未だ消えないビルの光、駆け回る車両のライト。登り続ける自分には、だんだんとそれらの区別がつかなくなっていた。でも、
「……綺麗」
鈍臭い自分はそう声に出してやっと、この眺めに感動しているのだと理解した。
それでもこの身体を導く光は弱まる事を知らないようで、直下の光は瞬く間に消え去ってしまった。代わりに地面を覆い隠す雲は、月明かりの反射によってその輪郭を映し出している。
その輪郭も朧げになった頃、要領の悪い自分は今更、この身体がどれだけ上昇しているのかを測る指標が、既にどこにも存在しない事に気が付いた。
身体を包んでいた浮遊感も、地面に押さえ込もうとする重力も、何も感じない。
次の瞬間、辺りに浮かぶ青白い光が鮮烈に輝き、その熱さに引き込まれそうになる。結局空っぽな自分が辿り着いたのは、地獄だ。空っぽなくせに、これまで生きてきた日々を見下そうとして、その結末がこの有り様だ。私の人生とはたったそれだけの事なのだ。
けど、私はそれを望んでいた。そういう在り方にこそ、憧れを抱いていたはずだ。
後悔はしないように、力いっぱい椅子を蹴り上げる。重力に従い降下した身体は、一瞬の静止の後、僅か上空で滞空を続けた。
作者: makigeneko
票数: makigeneko, Fireflyer ×2, kihaku, Yukko, Syutaro, Hoojiro_san, teruteru_5, Childream, Touyou Funky, leaflet, MikuKaneko
男は、並の才を凌駕する画力を持ってこの時代に生まれた。しかし、彼がこれ一つを武器に挑めた世界はすでに人外たちで埋め尽くされており、享受する側もされる側も人間の可能性を証明できる作品こそを必要としていた。
男には不足があった。キャラクター、ストーリー、言葉、空間。漫画を構成するこれらの要素をひとつも習得できていなかった。
ならばタイムマシンを使おう。決心した男は、時空を超えて過去に向かう。現代で受けている作品を真似して過去で出せば、当然ながら評価を得られると信じて。
男は作品を投げた。
男は作品を投げた。
男は作品を投げた。
男は
「確かに面白いのかもしれないけどね。魂の色が見えてこないんだよ」
その批評を納得できなかった。抽象的な表現だからじゃない。画風以外が同一の作品を見比べさせても、その内容に評価が逆転するほどの差が付くとは思えなかったからだ。それに、これではAIの作ったほうにこそ面白さと魂があると言っているようではないか。
「君の筆の早さと熱心な持ち込みは業界でもすっかり有名だよ。そこで提案なんだけど、作画担当として誰かと組んでみるというのは」
男はその場で数十年間立ち尽くし、年齢だけを重ねて現代へと戻った。遠くの方から迫ってくる音が、立ちながら眠りこける彼の空(うつろ)な意識を戻す。この工場で長年彼が担当しているコンベアの空転を、班長が怒鳴りながら指摘していた。
帰路で見たニュース番組の中で、AIアナウンサーの報道を聞いた。AIの作る芸術作品の評価も、ついに人間由来のそれを超えたらしい。男の心はとうの昔に空虚であり、潰れる余地すらなかった。
作者: leaflet
票数: leaflet×2, kihaku, ocami ×2, Yukko, teruteru_5, Matcha tiramisu, Memento Morinosuke, Fireflyer, MikuKaneko, Syutaro
俺は美しい物に対する感受性が低いんだと思う。
絵を見ても"写真みたいに上手"と感じ、
詩を見ても"わけのわからん文章"と感じ、
星を見ても"黒い背景に点がある"と感じる。
――
「天体観測しよ!」
流行りの歌の影響で、周りで"天体観測"という行為が一つの憧れになっていた。しかし星を見るというのは本当に退屈だ。親父が望遠鏡を引っ張り出し、俺に覗かせて白い点を見せたことがあるが楽しみ方がわからなかった。
不思議なのは、明らかに流行に乗れていない俺にこいつが声をかけていることだ。
「なんで俺?」
「頭いいから星の名前とか知ってるかなって。」
「まあ……。」
知識としては知っている。だけどそれは試験で点を取るためで、ひいては大学受験のためだ。見て分かるかは……。
「部活帰りに声掛けるね!」
でも、この期待を裏切りたくないなと思った。
――
黒い空に、星が沢山ある。
「ねえ、シリウスってどれ?」
「わからん。」
「あれって何?」
「どれがあれだ。」
当たり前だ、星を星として見ようとしたことが無いのだ。何が何かなんて分かるはずがない。
困ったな、と思いながら何か分かる星はないかと探すが全然わからない。
「ねえ、あれってオリオン座?」
その声で、オリオン座なら分かるかもと思い、その指の先を見る。三つ並んだ星、ベルトだ。そして砂時計みたいな……多分、恐らく、そうだ。
「ああ、オリオン座だ。だから左上のがベテルギウスで、大三角が……だからシリウスはこれ。」
「あ! 分かった! すごい!!」
大したことが出来たわけではない。だが隣で嬉しそうにはしゃいでいる奴が居る。何か嬉しかった。
もっと星を覚えよう、星空を見よう。
何の価値も無かった星達が、輝き始めた。
作者: four Boretto
票数: Enho_Osho ×2, Yukko ×2, makigeneko, sakapon, Syutaro, Hoojiro_san, leaflet, Childream, kihaku
「もしもし」
突然の呼びかけに、僕は昼寝から飛び起きた。いったい誰だ、こんな休みに邪魔をするやつは。声のする方を見ると、誰かが窓を叩いている。僕は仕方なく立ち上がり、窓を開けた。
そこには、“空”がいた。
「こんにちは」
“空”は言った。
「あなたから見て、私は何色に見えますか」
「え?」
僕は聞き返した。
「あなたから見て、私は何色に見えますか」
僕はすぐに窓を閉めた。なんだ、馬鹿にしてるのか。誰だって見ればわかるじゃないか。僕は布団に戻った。そのとき。
「もしもし」
“空”はまた窓を叩いた。僕は耳をふさいで毛布にくるまった。馬鹿にしやがって、もう二度と出てやるもんか。
………
それでも“空”は窓を叩き続けていた。僕はついに毛布をはね除けて、窓を力いっぱい開いた。“空”はまだそこにいた。
「こんにちは。あなたから見て、私は何色に見えますか」
僕は叫んだ。
「青色に決まってるだろ!」
“空”が言った。
「青色ですか」
「そうそう、青色だ」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「いやいや、そんなことよりも……え?」
“空”の反応に、僕は思わず拍子抜けしてしまった。“空”はそんな僕を見ながら、話を続けた。
「実を言うと、今まで私は自分が何色なのかも、知らなかったのです」
「ここに迷い込んでからは、いつも独りで、小さな街を眺めるだけの日々でした。そんな中で、あなたは私の声に耳を預けてくださいました。これで私も家族の元へ帰れます。ありがとうございます。お邪魔しました。それでは、おやすみなさい」
そう言って“空”が僕の前を飛び去ると、辺りはすっかり夜になっていた。
なんだ、そんなことか。そう納得すると、僕はまた昼寝に戻ることにした。
作者: Syutaro
票数: Syutaro ×2, leaflet ×4, Touyou Funky ×2, four Boretto×2, Yukko
ポン・デ・ライオンに足をやられた。川で粉砂糖を浴びていたフレンチウーラーに目を奪われていた隙に、奴は僕の背後へと忍び寄っていたのだ。
すぐに逃げたが、傷口から甘い匂いがする。奴の牙に雑菌の類は存在しないが、この甘い匂いによって他のポン・デ・ライオンまで寄ってくるため、傷を残されるだけでも危険なのだ。
申し遅れた、僕はチョコダッチョ。チョコの胴と羽毛を持ったダチョウである。脚力ならサバンナ1だ。
周囲を見渡すために丘に登ると、恐るべき光景がそこにはあった。ポン・デ・ライオンの群れが、まるで一つの生き物のように私の方へと押し寄せてきている。
逃げ道を探したが、連中の包囲は巧みだった。下手な方向に逃げれば途端に捕まえられてしまう。
そこで、僕は連中の弱点を思い出した。奴らはそのたてがみのベタベタさ故に、粉砂糖の川を渡ると粉まみれになるのだ。
私は引き返し、川へと走った。伏兵を避け、木を蹴って加速しながら、ようやく川へと辿り着いた。
サラサラと流れる粉砂糖を目にし、私はあることを思い出した。粉砂糖が付くのは私のチョコも同じである。渡れないままでいると、後方から「チョコダッチョだ!殺せ!」と声が聞こえてくる。
「ごめん!」
僕は粉砂糖浴びをしていたフレンチウーラーの元へと跳躍、その腹部を蹴ってさらに跳び上がった。
「飛ぶ!飛ぶんだ!」
僕はバタバタと羽を動かした。その時に気付いたことだが、僕の胸骨と羽はチョコでできているため、普通のダチョウのものよりも強靭なのだ。私の身体は空に浮き上がる。こうして僕は空を飛ぶことを覚え、群れに帰ったのだった。
これが後のフレンチウーラー・チョコダッチョ戦争の発端である。
作者: ocami
票数: ocami, Yukko ×2, makigeneko ×2, Touyou Funky ×3, MikuKaneko, kihaku, Enho_Osho, Matcha tiramisu
空をテーマに短編を書けと言われた。とにかく"空"という漢字をテーマにしていればどう解釈してもいいらしい。ふと、サルトルが『人間は自由の刑に処されている』と言っていたのを思い出す。倫理の教科担任が偉そうに語っている時は理解出来なかったが、今なら分かる。なるほど、これは確かに、刑と呼ぶのに相応しい。
暴走族のバイクのように唸り、チョコを食べて仮眠をとり、ようやくテーマが決まった。もう、六百円の使用法を寝ながら考えた坊ちゃんを笑えない。夢の中で考えた通り、今回は"空っぽ"の意味で解釈することにしよう。空っぽ、中身が無いといえば、ワケの分からないセミナーだろうか。他人の独白や思い出話など、中身の無い話の1つではないか。では、独白を書いてみよう。
そこまで決めてから、天啓のようなバカバカしいひらめきが下りてきた。丸善の画本の棚に檸檬を置くような。独りよがりな、他者から見れば大して面白くないであろうひらめきだ。
もしも、独白を画像として送りつけたのなら。
もしも、画像が文字数としてカウントされないなら。
空っぽな内容が、0字からっぽで出力されるのではないか。
自分でも驚くほどの速さで独白を書くと、友のためにシラクスへ向かう男のように急いで 恐れていたのは友の死ではなく冷静になることだが 教えられたメールアドレスに、画像化した文章を送りつけてしまった。屁理屈を捏ねるな、というメールを想像して一頻り笑い、溜息を1つ。
微かな後悔と下らない達成感が、なんだか異様に空むなしかった。
作者: sakapon
票数: sakapon ×5, Childream, Memento Morinosuke ×3, Fireflyer, makigeneko, four Boretto
年月が経つにつれ人間が老いていくように、鉄で出来た機械の体にもガタが出始めて来るものだ。
修理や定期的なメンテナンスを怠らなければ想像以上に長持ちするが、やはり時の流れには逆らえず、その結果私は飛べなくなってしまった。
私のように退役した飛行機が集まる場所、いわゆる飛行機の墓場と呼ばれる場所に身を置いてから、私と同じ境遇の飛行機が鉄屑スクラップにされていく様を何度も見てきた。
先日、私と同時期に来た飛行機が解体された。つまり私の番が近いということだ。
こんなときに限って昔の記憶が蘇ってくる。そして、かつて私の所有者だった人物の言葉を思い出す。
『もし天国があるのなら、俺は、またお前と空を飛びたい』
年齢的に肉体の限界が近った彼は、引退時に最後のフライトを終え私にそう言っていた。
それから1年も経たないうちに、彼は亡くなってしまった。暫くして私は売りに出されたが、誰にも買われることなく今に至っている。
天国……か。私でも行けるところなのだろうか?
そう考えていると、工具を持った作業員が私に近づいてくる。
どうやら私はこれまでのようだ。と観念している途中、一人の作業員が私に手を当てこう呟く
「今までお疲れ様。ゆっくり眠りな」
この一言に救われた気がする。その一言があったからこそ、私は彼のいる天国そらへ飛んでいける。そんな気がした。
犯人: Matcha tiramisu
票数: Matcha tiramisu ×6, Enho_Osho, sakapon, four Boretto, ocami, Memento Morinosuke
複数名の午前の様子を「空」という三首の短歌連作にしました
『空』
「ちがい」として封するにはあまりにも君もいた筈のベッドメーク
トロンボーンに託し二階席から→4拍子想い春の向こう
空っぽの自室 a、i、a、o、u。と囁いた先みまもり役のミニー
作者: MikuKaneko
票数: MikuKaneko ×6, Yukko×2, kihaku, makigeneko, Memento Morinosuke, Touyou Funky, teruteru_5
ざわめく観客席、格好良かったはずの背中を今や空を仰ぐことなく見下ろしている。
混乱の彼方、彼女は担架に乗せられて保健室に運ばれていく。
彼女の安否に心配に追われながら、二人に声を掛ける。
どうしようと訊ねると、皆想いは一緒だった。
ここまでやってきた分、結果としては悲しいけれどその決意は変わらない。
「ここにきてくれたみんなには本当にごめんなさい。」
「最後に用意していた曲は、演奏できません。」
「すべての星が煌めいていないと星座にはなれません。」
「また、4人が揃って届けるので、それまでは待っていてください。」
「今日はみんなきてくれてありがとう。」
会場を包み込む拍手がまだ耳に残ったままライブが終わる。
片づけが終わり体育館を出るや否や、保健室に向かって駆け出す。
最後までやりきれなかった後悔を塗りつぶすような不安が沸いてくる。
静かにベッドに寝ている彼女は大丈夫、じきに目を醒ますとのことだった。
安心とともに、自然に口から言葉が出てしまう。
「ごめんなさい、後藤さん。」
なぜか浮かんでいた涙を拭う。
彼女が目を醒ましたのは、その直後だった。
作者: Pope3pape does not match any existing user name
票数: Pope3pape ×6, Yukko, four Boretto ×3, sakapon
いとしのセレスタインへ
君に会うまでの僕はさ、まるで空っぽみたいだった。
いつだって海闊天空、そして空駆ける天馬と同じくらい自由な君に会ってからだよ、空虚だったはずの人生が光り輝き出したんだ。
僕の生は幸福だったさ。
生きた空もないくらいの恐怖も、君さえいてくれれば耐えられた。
だけどさ、色即是空、空即是色だなんてよく言ったものだよね。実際、永遠なんてないんだ。
いつか起こることだったよ。絶対的なこと。それがたまたま今になっただけ。僕の肉はすべて四大空に帰して、そうしたら全部終わりさ。
だから、僕のことはもういいんだ。いままでの関係ごと全部、空言だったと思って流してしまってくれればいいよ。
架空の僕に縋ったりしないで、君は君の人生を生きるといい。
誰もいない空っぽの空間の奥まで、僕の名前なんて呼ぶ必要はないよ。
空の色によく映える桜を春嵐が散らす頃には、僕との日々を忘れてくれ。
夏の入道雲に降られて、僕ではない誰かと空模様を嘆いてくれ。
どこまでも高い秋の空に遠く、僕のじゃない名前を叫んでくれ。
澄み渡った冬の星空の下、いつまでともなく笑っててくれ。
いつだって雲間から見える僕の青空だった、君の幸福だけをただ願っている。
その夕焼け空の瞳が、いつまでも曇ることなく美しくどこかを見つめていられますように。
ねえ、そうやって陳腐な言葉遊びに小手先ばかり弄してさ、まったく本当にあなたは、どうしようもない莫迦だね。
空しいだけだよ。
作者: Yukko
票数: Yukko×2, Syutaro, leaflet, Hoojiro_san, Memento Morinosuke, makigeneko, ocami, leaflet, Matcha tiramisu, teruteru_5, rokurouru
紙飛行機が空から降ってきた。
一つじゃない。もっとたくさんの紙飛行機が、家の上に、歩道橋の上に、隣の友達の目の上に、そして、ぼくの頭の上に降ってきた。
「あ゛」
小さいうめき声を出して、目を覆った友達。小学校の下校時間。降ってきた紙飛行機は僕の頭を何度もつついて、気取った女の子の日傘をびりびりに破った。
白色の紙飛行機。視界いっぱいの銀世界。
頭が痛い。
そう思って、足元に積もった紙飛行機を見たら、その中に何か書いてあるのを見つけた。黒い文字で線が書かれているけれど、折り目に隠れて中身がわからない。
近くで女の子たちの叫び声がきこえるけれど、「大丈夫?」と言ってあげる事ができない。
痛くて痛くて、うずくまった友達の事すら気にかけられなくて、それでも紙の中に書かれた文字が気になって。
体を屈めて、手を伸ばして、拾って、広げた。
すると「この手紙を読む人へ空のボトルメール便」びっくりして紙をなげた。それはよく分からない言葉で書いてあって、それが怖くて走ってにげた。
踏んでる紙にも意味のわからないものが書いてあると思うと、それがまた怖くてもうどうすれば良いのかわからない。
にげてにげて、家に帰ろうとして転んだ。うごけなくなった。
それでも紙飛行機は止まなくて、足元を見たら、白色の紙飛行機がまっかっかに、あれ、これ自分の血
急に視界が真っ暗になった。
作者: rokurouru
票数: rokurouru ×6, Memento Morinosuke, MikuKaneko, Fireflyer, MikuKaneko, Hoojiro_san, Matcha tiramisu
置いてきた物がある。
IKEAで買った椅子は組み立てに随分と苦労した。どちらかと言うとついでに買った犬のぬいぐるみの方が思い出深いくらいには扱いに困らせられた記憶がある。我ながら生産性のない趣味だった「自販機を撮った」アルバムも、2冊くらいで何処かへなくしてしまった、ような。
捨ててきた物がある。
卒業証書とか"卒アルの方を残せばいいや"と捨てる人間は僕だけじゃ無いと信じている。半年で別れた山下とお揃いで買ったキーホルダーは、リュックごと捨てたっけ。あぁそうだ、何となく買った液タブ。届いた瞬間から僅かに感じてた不安は、案の定的中した。散髪屋のクーポンは大事に取っておいたのに、先に店が潰れてしまった。
置いてきた物がある。
ゴミ箱に、捨ててきた物がある。
だからゴミ箱の中身が妙に気になる時は、きっと疲れている時だと思う。割れてしまった卵はもう元には戻せない。そこに意味なんて存在しない。選ばずに散った紙切れの先を今更夢想して、「もしも」の自分へと理不尽に完璧を押し付ける。その自慰自傷を世界は待ってくれやしないし、そんな事をしている暇があるならば、もっと。もっとする事がある筈だ。
そんな事は解っている。
よろよろと来た道を戻り、立ち止まる。庭に隠した宝の地図が。開けてなかった貯金箱が。中に眠っているのを、一人思い描いて。慣れない手付きでゴミ箱の取っ手を掴んだ。意図せず転がり込んできた玩具箱を、久方ぶりに眺める様な。そんな気分がそこにはある。ゴミ箱を開いた。
中を覗く。
伽藍堂の空っぽが、そこには満ちていた。
「当たり前だろ。」
作者: Hoojiro_san
票数: Hoojiro_san ×2, Childream ×2, Yukko, kihaku, makigeneko, Touyou Funky, teruteru_5 ×2, Matcha tiramisu, sakapon
| 超常現象記録-JP | |
|---|---|
| 識別番号 | EE-████-JP |
| 概要説明 | ████高校の3年B組全37名が授業中に突然立ち上がり、教師や他クラスの生徒による制止を突破して████高校の屋上に侵入。そのまま全員が屋上の落下防止柵を飛び越え、極度の性的興奮に伴う絶叫を発しながら推定████km/hで上空に向かって射出された。現在まで生徒全員の死体は回収されていません。 |
| 発生日時 | 2022/05/30 |
| 発生場所 | 神奈川県██市████高校 |
| 追跡調査措置 | カバーストーリー「校舎崩壊事故」を流布し、生徒全員が圧死したと発表されました。2025年05月30日まで████高校は財団の監視下に置かれます。 |
作者: kihaku
票数: kihaku, Touyou Funky, Memento Morinosuke ×2, Yukko, makigeneko, Enho_Osho, Syutaro, ocami, Pope3pape
「お天道様が見ているよ」
私を叱る時、母は決まって初めにそう口にした。別に信心深かった訳ではない。躾けの言い回しだろう。「いただきます」や「ごちそうさま」、「七五三」や「初詣」、皆が知ってる諺の引用。そういう類の日本人的な慣習の延長線。それが母の「お天道様」だった。幼くからそう言い聞かされて過ごしてきたからだろうか。道徳の教科書も歴史の神話も、太陽を神様のように仕立てたお話で溢れていたから、真面目な私は別段違和感を抱かずに品行方正に育った。
そうやって大人に褒められるタイプの良い子で過ごしてきた私にも、高校生になる頃には悪友というものが出来た。その頃には、私にも小さいながらも反抗期が来ていたから、その悪友から聞く悪ガキの所業は私にとって夢のような体験談だった。住む世界が違う。海外に対する羨望のような、そんな心持ちで聞いていた。彼はそんな私を見透かすように、当時から変わっていなさそうな笑みを見せて私に言った。
「オテントウサマが見てない時なら、悪事はバレねえぜ」
その言葉は、自分でも驚くほどに私の心の収まりの良いところに落ち着いて、大きな免罪符となった。それから私たちは色々やった。影を包んで隠してくれる夜は自由であれる気がした。深夜三時の車道の真ん中を闊歩、二人で侵入禁止の場所で肝試し、河川敷で火遊び。子供の小さな悪事でも、そのどれもが新鮮で、背徳的で心地良かった。
外がちかちかと赤い。目の前も紅い。あれから20年。暗い部屋に一人と一つ。空にお天道様は留守でも、星は無数に瞬いている。どうやら悪事はバレたようで。彼への不満をぽつりと一つ。
「なんだよ。代わりに星が見てるじゃないか」
作者: Touyou Funky
票数: Touyou Funky 2×, makigeneko ×2, Yukko, Memento Morinosuke, Hoojiro_san ×2, leaflet, Enho_Osho ×2, Fireflyer
ユニテリアンの知人の誘いでそこの教会の集まりに出かけたことがある。ユニテリアンというのはキリスト教の一派とされる宗教だ。しかし信者は必ずしも自身をキリスト教徒と自認しているわけでもなく、あらゆる宗教に寛容で、むしろキリスト教以外の宗教の教義を歓迎して取り込んで三者三様の信仰を構築していくという自由なスタイルをとる。誘ってきた知人はこの頃サンテリアから禅に凝ってきているそうだ。
その教会は平日も勉強会やらどこのかよく分からない礼拝を開いていて、その日は旧約聖書のコヘレトの言葉と仏教の空(くう)の概念を共通したものと見れるのではないかという主旨の講義を聴いた。
牧師のようにも坊主のようにも見える袈裟を着た説教者が二つの概説を話し終えたタイミングでぼくは傍の知人に訊いた。
「聞いてて分かるの」
知人は講義を聴きながら長椅子の上で坐禅に耽っている。
「分からない。俺今空だから」
本当に空が何か分かって言っているのか訊きたかったが、しかし彼は彼の空のうちにいるのだろう。ぼくは残りの時間を前の席でぐわんぐわん頭を振ってる人や、ゆったりとした土下座を何回も繰り返す人を見るのに費やした。彼らが得る空は同じ空なんだろうかと思いながら。
作者: teruteru_5
票数: teruteru_5 ×2, Hoojiro_san ×2, rokurouru, Childream ×2, Yukko, Pope3pape, Syutaro ×2

──人生は物語だ。
現在時刻は午後11時。ビルの屋上に立ってぼそりと呟いた。星々の輝きが目に入る。俺の死を祝っているみたいで気分が悪い。内心悪態を吐く。これ以上気分を害されないようにと視線を下げる。これで星の明かりが目に入ることはなくなった。
乱雑に靴を脱ぎ捨てて屋上の縁に立つ。深呼吸をして緊張をほぐす。吹き抜けるような夜風が心地いい。覗くようにして下を見る。ネオンランプのような街明かりが目に刺さる。チカチカしてて気色が悪い。逃げるようにして目を閉じる。全身の触覚神経が過敏になっていくのを感じる。
汗が額を流れる。虫が皮膚を這っているような嫌悪感に襲われる。服の袖で汗を拭う。全身を包む緊迫感が「飛び降りろ」と囁く。その囁きに応えるように、足を前へと運ぶ。一歩、二歩。コンクリートの冷たさが足裏の熱を奪っていく。そして次の瞬間、俺の身体は宙を舞った。
ジェットコースターで急降下するときのような浮遊感。心の中が期待で満たされる。終わりに対する希望が脳内を占めている。ふっと目を開ける。星の輝きと街明かりが混ざる。まるで一枚の絵画みたいだ。最期に見る景色が綺麗なんてロマンチックじゃないか。
宙を舞い続けながら、終わりを感じ取る。あと数秒もすれば俺の身体は地面とぶつかる。そして死ぬ。生に執着などない。それでも、もし。もし願いが叶うのだとしたら。来世も人間になりたいなあ。
──そうして、俺の人生は幕を閉じた。
作者: Memento Morinosuke
票数: Memento Morinosuke ×2, four Boretto ×3, Pope3pape ×2, Syutaro, teruteru_5, rokurouru, Fireflyer, Yukko
「何ですか…これは…?」
空挺部隊Κ-8隊員、イアン・ブレイクは震えた声を発した。
プロジェクト・パラゴン。太古に失われた超常の時代に纏わる遺物、異常物品の研究を行うプロジェクト。その関係者に名を連ねる彼だったが、目の前にある“それ”は明らかに今までの調査対象とは違っていた。
「昨年、永久凍土から発掘されたものだよ。腐食が広がっていて、この姿に戻すまで丸一年費やしてしまったというわけだ」
イアンの隣に立つ男、シャノン・ランカスター博士が応えた。
それは一言で言い表すならば「巨大ロボット」そのものであった。
輝く鋼鉄のボディ、両腕に備え付けられた鋭利なサーベル、60mを越える巨体。そして何より目を引いたのが、背部に取り付けられている、巨大なジェットパックだった。
「これ、飛ぶんですか?」
「その通り、これは空戦に特化した対奇跡超常人型機動兵器SALUSだ。40万年以上前に建造されたものだよ」
「サルース…“空の王者”の?」
「そうだ。これはオールドエウロプを統治していたアポリオン王家が所有していた。まさしくこれが、かの王家が空の王者と呼ばれていた理由だよ」
イアンは遥か頭上にある双眸を見つめた。合金の眼球が、微かにこちらに動いたように見えた。彼は背中から冷や汗が吹き出るのを感じた。
「SCP-4812-K───大冒涜者の動きがここ最近で活発化してきている。奴が目当てのものを奪いに来るのも時間の問題だろう。だが我々は幸運にも目の前の解決策を手にした。そして君だよ、イアン君」
「君を、SALUSのパイロットに任命する」
プロジェクト・パラゴン 鉄の章、開幕。
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